ハイドリッヒ・ラング

私の派遣元の所属長が変わった。
すなわち、私のボスが替わったのである。
新旧揃い踏みで挨拶廻りをするいうことで、私の職場も対象先となっていた。
Y理事長やY社長との面談をアテンドするのが私の役目で、派遣元からは、15時15分到着予定との連絡だった。
しかし、14時50分、旧ボスが顔を覗かせた。
巧みに操る京都弁の印象そのままの、はんなりとした柔和な旧ボス。
ロマンスグレーのナイスミドルである。
そこはかとなく威厳を漂わせるこの人を、私は自分のボスとして敬愛していた。
無論、雲上人で、直接お話しする機会なんて稀だったので、深く存じ上げているわけではなかったけれども。
さて、旧ボスの後ろには、新ボスがいた。
私は初対面。
しかし、どこかで見たような・・・記憶をくすぐる風貌だった。
予定よりも早い到着でびっくりしたせいもあり、理事長室へ誘導する間に思い出すことができなかった。
Y理事長と旧ボスの歓談が始まった段に及んで、やっと私は思い出したのだ。
前頭部から頭頂部にかけて禿げ上がり、側頭部、後頭部に頭髪が残っている。
小太りな体格に、つやのいい、まるで健康優良児のような福々しい顔。
・・・ハイドリッヒ・ラング銀河英雄伝説の登場人物である。
2CHなどでAAが貼られているから、ググレば見ていただけると思う。
・・・似ている。
しかし、声は違った。Y理事長と新ボスの会話が始まったとき初めて聞いたその声は、明らかにラングと相違していた。ラングが荘重なバリトンボイスという設定であるのに対し、新ボスは風貌の印象そのままに、高めの声だったのである。
性格も違っていてください、というのは切なる願いだ(笑)。